太田達男様、
今般、6月27日の「一般社団法人における役員の再任方法の疑義について」と題する「新人理事」さんの質問に関して「おせっかし」さんが翌28日に公法協の内規「理事会運営規則」8条を例示して問題提起されています。これは先に私が昨年12月5日に「1人1個の議決権」の問題として提起したテーマのコピーですから、回答は「過半数を算出する分母は議長も含む10なので、5対4では過半数に満たない」と一蹴して済まされることでしょう。
しかし、それでは済みません。「おせっかし」さんの例をちょっと変えて、もう一度考えてみましょう。
ここではまず、公法協任意の内規ではなく、同一文ですが、法定の定款第49条を引くと次の通りです。
第49 条 理事会の決議は、この定款に別段の定めがあるもののほか、議決に加わることのできる理事の過半数が出席し、その過半数をもって行い、可否同数のときは議長の裁決するところによる。
2 前項前段の場合において、議長は、理事会の決議に、理事として議決に加わることはできない。
さて、第〇回理事会は、出席理事10名のうち理事長派6、反理事長派4という「有利」な構成です。理事長=議長が「理事長報酬倍増案」を採決すると、賛成5、反対4で過半数6に満たず、しかも「可否同数」でなく賛成多数ですから「議長の裁決」も効かない、決議不成立になります。議長を除いても賛成多数なのに否決される! やむなく理事長派の1人をトイレに行かせてその隙に採決をやり直し、いったん4対4の「可否同数」を演じて「議長の裁決」に持ち込む。こんなことが起きるのです。
なぜでしょう。それは、今回の制度改革の目玉「1人1個の議決権」を捻じ曲げ、FAQでもあれほどしつこく例示して禁止した、旧来の慣習議決方法を残したためです。採決で理事10人のうち議長を除くということは、議長たる理事に0個、他の9人に10/9個(9人で10個ということ)の議決権を与えることになり、明らかに1人1個にならず、後に議長裁決やら再採決やらを付け足してもダメなのです。
もちろん、公法協のようなリッパな法人は「有能」な官僚がそんな隘路を避ける根回し、段取りをするでしょうが、コトは法人法の根本的な思想に関わる問題です。いくらザル法でも4人の理事会で1人が反対すれば否決、なんていう仕組みになっているはずはありません。
やはり、公法協の定款が違法、あるいは違法状態ではないでしょうか。それとも、私の誤解でしょうか。今度こそご回答をお願いいたします。