by 鈴木 勝治 » 2016年1月06日(水) 18:34
masakiさんへ
回答が遅くなりましたが、ご質問について、下記の通り私の考えを申し上げます。
1.質問1について
ご質問の設定では、理事会の開会要件も成立要件も定款では規定されていないということですので、報告や協議することは問題ないようにみえます。
しかし報告事項についても、決議要件を満たすことが必要というのが会社法の通説的見解ですので(注1)、その説を一般法人法に適用すれば問題あり
ということになります。さらに協議ということが決議に近いものであるとすると決議の要件を満たしていないことから問題があると思います。
2.質問2について
ご案内のように一般法人法は会社法と同様に議決要件のみを定めており、「理事会の決議は、議決に加わることができる理事の過半数(中略)が出席し、
その過半数(中略)をもって行う」(同法§95①)と規定されています。
この場合、ある人が私用で理事会を離脱した場合は、理事の過半数が出席している状況にありませんので、議決要件を満たしておらず、決議することは
できないと考えられます。このことは一般法人法の基となっている会社法の通説的見解であり(注2)、最高裁の昭和41.8.26の判決では、「開会時から討議、
議決の全過程を通じて、定足数要件を充足しなければならない」とされています。学説では「定足数は、決議(議決)のときに満たす必要があり、
それで十分である。」と解する立場もありますが、いずれの説でも本質問の場合は決議は不可と考えられます。
(注1)落合誠一編「会社法コンメンタール8」 商事法務2009年刊 289~290頁
(注2)同上 289頁
以上
by鈴木 勝治