by 鈴木 勝治 » 2016年1月08日(金) 14:17
masakiさんへ
大変遅くなりましたが、ご質問について私の考えを申し上げます。
1.最初にお断りしなければなりませんが、ご質問の趣旨が私には必ずしもよく理解できていません。というのも、私共の公益法人協会では
貴法人のように「理事会の議事録を、次回の理事会に上程し、異議がなければ自動承認とする運営」を行っていないからです。私共の場合は
理事会の議事録は、理事会修了後可及的速やかに事務局が作成し、執行部(常勤理事)・監事ならびに発言した理事等に送付し、
異議がないかを確認し、必要に応じ修正を行い、その結果をもって最終的な議事録としているからです。
そこで貴法人の場合における議事録の次回理事会上程ということの性質をどう考えるかが問題となりますが、ここでは理事会の議案として
提出し承認を受ける(※)ということではなく、前回理事会に出席した理事の承認受領のための様式(やり方)であると理解して回答申し上げます。
(※)後記3の回答については、これを前提としているようにみえますが、これについてはそこをご覧ください。
2.上記のように、前回理事会に出席した理事の承認受領のための様式であるとすると、理事長と監事が先に署名(捺印)するということは、
原案を責任をもって作成・提出した印(しるし)ということならともかく、それが議事録にそのままなるということならば、それは順序が違うように思います。
何故ならご指摘のように、①異議のある理事がそれを指摘できにくくなるし、②文書として完成したものに対しては人は得てして内容確認を怠りがちになるからです。
従って理事会で承認という様式をとってから、署名する方式に変える方がよいと個人的には考えます。
3.さらにご質問は一般法人法§95⑤との関連について及んでいますが、これまたその意味が私にはよく分かりかねます。
(1)前提を置いて考えると以下のようなことでしょうか。
①従来の方式であれば、前回理事会の議事録への賛否であることから、前回理事会に出席した理事の問題であり、今回の理事会のみに
参加した理事においては§95⑤の適用はない。
②新方式であると、今回の理事会提案事項の承認であることから、前回理事会に出席しなかった理事も異議をとどめないと前回議事録に
賛成したものと指定され、責任を負う可能性がある。
(2)上記(1)のようなことが一般法人法§95⑤との関連で問題であるとすると、私には(1)の前提としている議事録の理事会決議事項としていることに
問題があると思われます。いうまでもありませんが、議事録は一般法人法上は理事会決議事項ではありませんので、上記1に記載したように
貴法人の理事会上程は理事の承認を得るための様式と考えれば、この問題は生じないと思われます。むしろ新方式に変えることにより、
上程された議事録に対し、前回出席した理事が異議を申し立てやすくなるとするならば、法人法§95⑤の趣旨にそうものとなると思われます。
(3)なお、貴法人の従来の方式は、理事が多数存在し個別の承認を得るのが事務的に大変であることから生まれたものと考えられますが、
公益法人の場合は行政庁への報告や届出のために短時間に議事録を作成する必要があります。貴法人の場合はその必要がないかもしれませんが、
公益法人になった場合は、次回理事会まで議事録の作成が時間的に待てないこともありますので、理事会承認という方式にこだわること自体も
考え直すことも検討されたらいかがでしょうか。
以上
by鈴木 勝治