(続)理事の議決権

(続)理事の議決権

投稿記事by 岩内 省 » 2015年8月23日(日) 16:33

鈴木勝治様、

「理事の議決権」と題した投稿のご回答には別途再問させていただきましたが、関連質問です。
公法協定款が理事会の当初採決に議長を除外すると規定したのは、自説に沿って議論をリードするのを避けて議事の活性化を図る意図によるという趣旨を記されています。
まず、それが正しいか否かという疑問を覚えます。特に公法協のように議長を理事長とし、その理事長を代表理事から選出するという仕組みですから、要は法人のトップが理事会議長なのに、自ら何の見識も示さず者ども忌憚なくしゃべれとするのは、いささか不自然の度を越し、欺瞞的ではないでしょうか。
むしろ、上記意図が本当なら、理事会議長は理事以外の第三者(事務長とか顧問弁護士とか)を就け、代表理事に対しても、議長権限で掣肘しつつ自由に発言させ、採決は「議長を除く!」全出席理事で成し、仮に可否同数になったら、それこそ「諸君、自らの法人を決められない法人にしてよいのか!」と中立的立場からさらに活発な議論を促し、再採決を提案すればうまくいくのではないでしょうか。いくらなんでも太田さんが賛否知らん顔で理事会を仕切るのは不自然を越してコッケイでしょう。

一応、投稿質問の形を採ります。理事会・評議員会の議長は各理事・評議員でなくともよいのでしょうか。実際評議員会は外部委員ばかりで要領を得ないので、常勤で何でも知っている代表理事が議長席に着く法人が見受けられます。(もっともこれは、理・評合同会議の都合によるケースが多いようですが……)
議長の資格について何か法的根拠があれば、ご教示ください。
岩内 省
 

Re: (続)理事の議決権

投稿記事by 鈴木 勝治 » 2015年8月28日(金) 13:33

岩内 省さんへ

 議長の資格についての法的根拠ということですが、当局でも法律の専門家でもありませんので確定的なことは申し上げられませんが、
私なりに理解しているのは以下の通りです。

1.理事会と評議員会について
 それぞれの会議体についての議長に関する法律上の規定はないと思います。
 ただ理事会は、「理事会はすべての理事で組織する。」(法人法§90①)と、評議員会は「評議員会はすべての評議員で組織する。」(法人法§178①)
と規定されていますので、基本的にはそれぞれの会議体の参加者が許容しない限り、他の人が参加することはできないと考えられます。
(もっとも、法律が許容している参加者を除きます。法人法§101①、§190)また参加が許容されても、それはオブサーバーや説明者としてであって、
議決に参加することはできないと思われます。
 従って、一般的には議長はその会議体のベースとなる参加者の中から選出されるのが普通と思われます。

2.社員総会について
 社員総会については、議長の権限の規定はありますが(法人法§54)、会議体の構成について、理事会或いは評議員会と同様の規定はありません。
名前が社員総会となっていることから、社員の集まりであることは確かと思われますが、実際の総会では、社員でない会員、名誉会員等も
参加していますので、それを慮ったものでしょうか。或は株主総会とのアナロジーで規定がないのでしょうか。
 社員総会とされている限り、議長についても社員であるべきと考えますが、実際の運用では社員でない人も選ばれている場合があるようです(※)。
勿論その場合は議長に議決権も採択権もないと思われます。普通の場合は、選出の労を省くため議長は定款に規定しておく例が多いようです。
 (※)会社法の世界では、株主総会の議長の資格について、必ずしも株主であることを要しないというのが通説のようですが、会議体の一般原則から
総会に出席し得る者の中から選任されなくてはならないという有力説があるとされています。
(岩原紳作「会社法コンメンタール7」2013年商事法務刊272頁)

3.なお私の経験では、私が役員をしている某法人の理事会・評議員会の合同会議では、それぞれの会議体の議長は別であり、それぞれの会議体の
参加資格者から選出される(或は定款に規定されている)ことが多いように思います。

以上

By鈴木 勝治
鈴木 勝治
 

Re: (続)理事の議決権

投稿記事by 岩内 省 » 2015年9月07日(月) 12:23

鈴木様、
詳しいご教示、ありがとうございます。
私の真意に外れる部分もありますが、議長は当該「会議体のベースとなる参加者の中から選出」するのが本来で「普通」だが、それ以外からの選出も法的に禁止されてはいないという趣旨かと理解いたします。自社株0のやとわれ社長が株主総会で操り議長の席に着くのは「普通」ではないが、許容されるということですね。
上記引用中「会議体」と「ベースとなる参加者」の意味がいささか不分明ですが、例えば評議員会という「合議体」の構成員=ベースとなる参加者は評議員だけだが、実際に開催される評議員会という「会議体」には決算説明する理事やらその正確性を保証する監事、記録係事務員等が、議長になるべきでないメンバーとして加わっているということでしょうか。約めて言うと、「会議体の議長は合議体構成員から選出する」となりましょうか。
さて、公法協定款の起案者たる鈴木さんは、「〈解説〉理事会の決議」で「最初の議決」に理事議長が加わらせないのは、「自由な討議を行う」ため、「賛否を表明して自己の考え方に沿うように議論をリードし、ひいては議事を混乱させることがないようにという配慮」から「白熱した議論を期待して」のことで、「事実その通りとなってい」ると強調されています(6頁)。その一方で議論百出はいいが可否同数で否決の運営遅滞は困る、として件の1回目強制棄権、可否同数なら議長印籠で可決、ただし10人中5対4の多数を得ても印籠行使不可、という意図不明の定款規定を設けています。
ところで公法協の会議では本当に理事長議長の意中を知らないで〔ふりをして〕議論しているのでしょうか、天の声をはかりかね「議事を混乱させ」てもなお議長は御前会議の天皇の如く沈黙を貫くのでしょうか。それは大人の評定ではないと思います。
閣議で安倍議長は一言も発せず、閣員の白熱討議で安倍さんの意向は不明のまま「安保法案合憲」が決まったとか、砂川事件の判決合議ではベテラン裁判長議長は一言も発せず、新米の判事・判事補連中の多数決に任せたとか、考えられましょうか。もちろん安倍さんだって大人ですから儀礼的に「腹蔵忌憚のない意見を!」くらいは言うでしょうが、忌憚なく腹のうちを公言したら更迭間違いなしです。
タテマエでなく、実質的に自由な審議、採決を確保するためなら、合議体以外の中立を担保できる、例えば外部役員、顧問弁護士等を会議体に加え議長に就けるのがいいのではないでしょうか。それが、非合法を回避し、「メリット」を採る方策だと思います。
以上、この項最後の質問です。
岩内 省
 


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