by 鈴木 勝治 » 2015年3月23日(月) 10:43
移行「専務」様へ
ご質問に回答したいと思いますが、この問題については実は会社法でもあまり議論がされていないと思います。(もしこれについて詳細を論じている
文献でもあれば、ご教授ください。
従って以下は全く私の考えであり、参考までにご覧ください。
1.一般法人法194条について
(1)評議員会の決議の省略の規定(一般法§194)によれば、1項において「評議員会の目的である事項について提案した場合において」となっていますので、
複数の提案があっても個々の議題毎に評議員の意見を聞くようにみえます。表現は社員総会の場合(一般法§58)でも同じです。もっとも理事会の場合は(一般法§96)
「理事会の決議の目的である事項」となっていますが趣旨は同じと思われます。
これを素直によめば、おっしゃられるように議案毎の成立・不成立が考えられると思います。
(2)しかしながら同法194の4項では、「第1項の規定により定時評議員会の目的である事項のすべてについての提案を可決する旨の評議員会の決議が
あったものとみなされた場合には、その時に当該定時評議員会が終結したものとみなす」となっています。これをみると少なくとも定時評議員会をみなしで
行う場合は、全ての提案が可決されていないとみなし決議は成立しないということになっています。
2.問題はどちらが本則(原則)かということかと思います。考え方としては二つあって
(1)194条の第1項を原則と考えれば、第4項は定時評議員会をみなしでやる場合に役員等の任期の計算の終期が定時評議員会の終了のときとなっていることから、
この定時評議員会の場合のみすべての提案が可決となり(一括承認)、結果として定時評議員会も終了するようにするための例外とする考え方です。
(2)他方第4項を原則と考えれば、第1項はみなし決議の趣旨を規定したものであり、みなし決議の場合に複数の議題があればすべての提案が可決されなければ
ならないとする考え方です。
3.私個人としては上記2については文理解釈上は(1)の考え方が正しいのではないかと思っています。
しかし、この辺りは、みなし決議は個別議案について緊急を要するものについて実際の評議員会を開くことが難しい場合に緊急避難的に行えるようにするために
うまれたものであり、複数の議案が提出されることを想定していなかったことから十分な議論が行われなかったのではないかと予想しています。
いずれにしろ定時評議員会の場合は第4項がある限り、お考えのような扱いはできませんのでお取り扱いには注意してください。
By 鈴木 勝治