理事のみなし選任について

理事のみなし選任について

投稿記事by 移行「専務」 » 2015年3月06日(金) 11:48

理事の改選を評議員会のみなし決議で行うことについてお伺いします。
移行時に示された内閣府の「留意事項Ⅱ-4」で「理事の選任決議案の決議方法」について、定款等に「『理事の選任決議等に際し候補者を一括して採決(決議)すること』を一般的に許容する旨の定めを設けることは許されない」(13ページ)とし、モデル定款でも17条3項に付した(注9)でもわざわざ記しています。要は候補者のうち1名だけ反対という議決権行使が妨げられるという趣旨の規定ですが、まさか定款に「理事の選任は候補者名簿を一括承認する」などと規定する法人はあり得ず、ここまで重箱の隅をつつく役人の頭は理解しがたいことだと苦笑した記憶があります。
ところが、今回初の役員改選を迎え、都合により評議員会はみなし決議でせざるを得なくなりました。そうすると、これは役員候補名簿の一括承認を求めることになります。そんなことが認められるのでしょうか。
そもそも、役員選任を書面決議で済ますこと自体問題だと思いますが、考えてみると、上記「留意事項」の趣旨も、裏返せば、定款に定めさえしなければ一括選任で構わないということになります。意図的な趣旨違反の容認とも思え、不可解です。
考え方をご教示ください。
移行「専務」
 

Re: 理事のみなし選任について

投稿記事by 鈴木 勝治 » 2015年3月16日(月) 14:27

移行「専務」さんへ

 1.役員の改選の評議員会のみなし決議について
 (1)表題のこと自体は、おっしゃるように重要な機関決定をみなし決議でやることがガバナンス上は問題はあると思われますが、法律が許容し、
また実務としてはよく行われていることと思われます。

 (2)ご質問の趣旨は、実際に開かれた評議員会においては、定款の定めにより一括決議は不可とされているにも拘らず、みなし決議では
何故できるのかと理解しました。
 しかしこれはみなし決議のやり方の問題であり、そこに○×をつける方式であれば一括決議にはならないと思います。この場合、一人の候補者にでも
☓がついていれば全員賛成ということにはならず、みなし決議は成立しないということになります。

 (3)問題は上記(2)に記したような個別の候補者名の後に賛否表明欄がなく、一括して賛否を問う形式の場合です。
 この方式ですと、おっしゃられるように定款の定めにより一括決議は不可とされている趣旨を没却しますので問題と思います。
従ってこのような欄を設け、ここに賛否を問うことが定款の規定に合致し、よいのではないかと思われます。

 2.役員選任の一括決議について
 (1)それではさかのぼって何故一括決議は不可であり、定款に一人一人賛否を問うと規定すべきとされているのでしょうか。これについての深い理由は
私には分かりかねますが、会社法の世界において、①判例等により役員の選任は本来個々に行われるべきであり、②一括選任では選任に反対する候補者が
いる場合、その選任の意思を表明することができないこと、③株主の書面による議決権行使の場合に個々の候補者名の後に賛否を表明する欄が設けてあることとの
平仄を合わせることが必要なこと等が理由として言われています。そしてこれが一般法人法の世界にも取り入れられたと思われます。

 (2)従って内閣府のモデル定款ではこのことを規定しており、実務もそれに従っていると思います。しかしながら定款に規定していなくてもそれを実際に行っていれば
問題はない訳であり、定款に規定することはそれが絶対的記載事項でない限り、その必要はありません。

 (3)現に私共公益法人協会はその規定はありません。また実際の運用においては、評議員会の議長が出席した評議員全員にまず一括決議の是非を問い、
一人の反対もなければ一括決議できると思っています。(もっとも定款に個々の候補者毎に採決するという規定があれば、一括決議は定款違反になりますので、
出席者全員の賛成があっても不可と考えます。)

By 鈴木 勝治
鈴木 勝治
 

Re: 理事のみなし選任について

投稿記事by 移行「専務」 » 2015年3月19日(木) 14:05

鈴木様、
ご教示ありがとうございます。人事の一括採決を不可とする説明を詳細につくしながら、一方でみなし決議でなんでも手抜き決議できる制度に問題があるような気がします。
それはともかく、お説を拝読して思いついたことを関連追加質問いたします。
みなし決議は、一括提案、一括同意が当然と思っていましたが、議案ごとの成立・不成立が考えられるのでしょうか。
つまり、改選時の定時評議員会では、決算承認を1議案とし、役員の選任についても1人別に議案を立て、ご教唆のような○×式で回答を求め、一部不同意として提案議案の一部のみ、決議があったものとみなす議事録を作成するようなことが可能でしょうか。
そうすれば、決算だけは承認され税務署に間に合う、定款定数さえ確保すれば役員登記ができる、といったことが生じ、不同意・再提案で期限切れになるリスクが減じます。
移行「専務」
 

Re: 理事のみなし選任について

投稿記事by 鈴木 勝治 » 2015年3月23日(月) 10:43

移行「専務」様へ

 ご質問に回答したいと思いますが、この問題については実は会社法でもあまり議論がされていないと思います。(もしこれについて詳細を論じている
文献でもあれば、ご教授ください。
 従って以下は全く私の考えであり、参考までにご覧ください。

1.一般法人法194条について
(1)評議員会の決議の省略の規定(一般法§194)によれば、1項において「評議員会の目的である事項について提案した場合において」となっていますので、
 複数の提案があっても個々の議題毎に評議員の意見を聞くようにみえます。表現は社員総会の場合(一般法§58)でも同じです。もっとも理事会の場合は(一般法§96)
 「理事会の決議の目的である事項」となっていますが趣旨は同じと思われます。
  これを素直によめば、おっしゃられるように議案毎の成立・不成立が考えられると思います。

(2)しかしながら同法194の4項では、「第1項の規定により定時評議員会の目的である事項のすべてについての提案を可決する旨の評議員会の決議が
 あったものとみなされた場合には、その時に当該定時評議員会が終結したものとみなす」となっています。これをみると少なくとも定時評議員会をみなしで
 行う場合は、全ての提案が可決されていないとみなし決議は成立しないということになっています。

2.問題はどちらが本則(原則)かということかと思います。考え方としては二つあって
(1)194条の第1項を原則と考えれば、第4項は定時評議員会をみなしでやる場合に役員等の任期の計算の終期が定時評議員会の終了のときとなっていることから、
 この定時評議員会の場合のみすべての提案が可決となり(一括承認)、結果として定時評議員会も終了するようにするための例外とする考え方です。

(2)他方第4項を原則と考えれば、第1項はみなし決議の趣旨を規定したものであり、みなし決議の場合に複数の議題があればすべての提案が可決されなければ
 ならないとする考え方です。

3.私個人としては上記2については文理解釈上は(1)の考え方が正しいのではないかと思っています。
 しかし、この辺りは、みなし決議は個別議案について緊急を要するものについて実際の評議員会を開くことが難しい場合に緊急避難的に行えるようにするために
 うまれたものであり、複数の議案が提出されることを想定していなかったことから十分な議論が行われなかったのではないかと予想しています。
  いずれにしろ定時評議員会の場合は第4項がある限り、お考えのような扱いはできませんのでお取り扱いには注意してください。

By 鈴木 勝治
鈴木 勝治
 


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