理事解任に絡む手続き省略招集の是非

理事解任に絡む手続き省略招集の是非

投稿記事by 常勤担当 » 2014年8月27日(水) 16:32

ある理事が刑事事件に関与して係争中です。当人は、当財団の理事としても法人法176条に該当して不適格と認められ、役員・評議員の大多数が辞任を求めています。
そこで、その176条「評議員会の決議によって、……解任」しようとしています。その場合、理事会自体が当該理事に制裁を加える法的根拠はなく、問責・辞任勧告等何らの対処もせず評議員会に丸投げのカタチで解任を提案するのは不自然だと思います。むしろ理事の選・解任権を一義的に保持している評議員会が直接解任するカタチにしたいと思います。そこで、183条の「全員の同意」を取り付けて招集手続き省略により評議員会を開催したいと思いますが、問題ないでしょうか。183条は、理事会の日程・議案決定(181条)、評議員による招集の請求(180条)その他もろもろの手続きを包括的に省略して緊急開催するための規定だと理解しておりますが、いかがでしょうか。
常勤担当
 

Re: 理事解任に絡む手続き省略招集の是非

投稿記事by 公益法人協会 岡部 亮 » 2014年8月28日(木) 15:45

常勤担当  様

法人法第183条は「前条の規定にかかわらず、---」となっております。したがって省略できるのは法人法第182条(評議員会の招集の通知)に定められている招集の手続きだけで、具体的には招集通知を出さなくてもよく、即時開催もできるというだけです。 法人法第181条の評議員会の招集の決定は省略できません。
公益法人協会 岡部 亮
 

Re: 理事解任に絡む手続き省略招集の是非

投稿記事by 常勤担当 » 2014年8月28日(木) 17:40

岡部様、
ご教示ありがとうございます。

素人の解釈で勘違いかも知れませんが、再度質問させていただきます。

法人法第181条は、「評議員会を招集する場合」(同第1項)、182条は、「評議員会を招集する」(同前)際の通知要領の規定であり、183条は“招集行為をしない”開催の規定ですから、理事会側の諸々の招集手続きを省略して、監事の介入も容れず、司法手続きにもよらず、評議員全員の意思一致のみにより評議員会を開催できるという、評議員会による究極の理事・理事会支配保障規定ではありませんか。
それが182条のみの否定だとすると、同第3項に指定された事項(181条1項に定める評議員会の日時・場所・議題等)も知らせない同意、すなわち議題も非公表だが開催に同意するという妙なことになり、書面郵送省略以外に何の効果もない、無意味な規定になりませんか。
理事会決議が無いと開催できないのなら、183条を適用するケースはほとんどないと思います。緊急会議としても、182条は招集発出を原則「1週間前まで」としながら無制限に「これを下回る期間」を許容していますから、「評議員会招集通知は前日までに発出する」という定款規定も有効で、会議開催時に絶対間に合わない招集さえも容認しているのです。
まとめると、法人法179~182条はいずれも評議員会を“招集する”場合の規定で、183条は“招集しない”開催によって理事会に対する評議員会の優越を保証する規定として理解すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。理事会の決議亡くして開催できないのでは、評議員会の機能を十全に果たせないのではないでしょうか。
常勤担当
 

Re: 理事解任に絡む手続き省略招集の是非

投稿記事by 公益法人協会 岡部 亮 » 2014年9月01日(月) 12:55

常勤担当  様

お示しのことは文理解釈上、法人法第183条の「前条の規定にかかわらず、--」の文言に 反するように思います。
また、法人法第189条4項に「評議員会は、第181条(評議員会の招集の決定です)第1項第2号(議題です)に掲げる事項以外の事項については、決議をすることができない。」とあります。お示しのように理事会の招集の決定なしに 評議員会を開催できるとしても報告しかできないことになります。
法人法第183条は“招集しない”開催によって理事会に対する評議員会の優越を保証する規定とは理解できません。
公益法人協会 岡部 亮
 

Re: 理事解任に絡む手続き省略招集の是非

投稿記事by 常勤担当 » 2014年9月01日(月) 16:26

岡部様、
改めてご教示ありがとうございます。

しかし、ご説には再度不審な点がございますので、再々質問する失礼をお許し下さい。ご教示の中に「法人法第189条4項に『評議員会は、第181条(評議員会の招集の決定です)第1項第2号(議題です)に掲げる事項以外の事項については、決議をすることができない。』とあります」とご指摘ですが、これはごく常識的に当然に理解できることで、事前提示議題以外に会議の場で決議提案するような理事側の恣意行為を禁ずるものです。たとえば決算評議員会として招集しておきながら突如議場で人事案件を提案するような横暴を防止するものです。つまり理事側が「招集」する場合は、決算の2週間前開示と同様に、評議員側に十全な議事を保証する趣旨です。これは当たり前で、評議員会の自律開催についての私の疑問には関わりありません。
繰り返しますが、181・182条は各文頭に明記されているように「評議員会を招集する」際の理事会側に対する拘束規定であり、183条は理事サイドの招集行為を省いた評議員会開催の規定です。183条をそのまま読めば、理事側の一切の手続きを省略して評議員全員の同意だけで開催できるという風にしか解釈できないと思います。
そうでなければ、183条はいったいどのような事態で適用されるのでしょうか。誰が、どのように同意を求めるのでしょうか。理事会で議題や場所を決めて日時だけ忘れる、あるいは招集通知を忘れるなどということはおよそありませんから、183条の規定に拠って開催すべきケースはほとんどなくなりませんか。
ご説のように「理事会の招集の決定なしに 評議員会を開催できるとしても報告しかできない」のであれば、183条の生きるケースは皆無だと思います。単なる「報告」を聞くために、わざわざ理事の招集を待たずに自発的に会議を持つなど、ありえないことです。
常勤担当
 

Re: 理事解任に絡む手続き省略招集の是非

投稿記事by 公益法人協会 岡部 亮 » 2014年9月02日(火) 09:15

常勤担当  様

会社法第300条に同様の条文があります。この会社法第300条の解釈がどうなっているかですが、論点体系会社法2 編著江頭憲治郎 中村直人 第一法規のP429、430に解説があり、その論点3省略できる招集手続の範囲に、「本条本文は「前条の規定にかかわらず、」と規定しているので、本条により認められるのは299条で定められた手続の省略、すなわち、法定の招集期間の短縮や、法定の招集通知や計算書類・事業報告の提供の省略に限られ、招集の決定(298条)は省略できないと解される(相澤・新会社法解説79頁)。」とあります。この相澤哲先生は法務省の新会社法の立案担当者であった方と記憶しています。

なお、申し訳ございませんが、私はこれ以上の説明を持ち合わせません。これに対するご反論に対しては、見解の相違につきこのフォーラムをお読みの方が自己責任でご判断くださいという、そもそものこのフォーラムの前提にてお答えせざるをえません。
公益法人協会 岡部 亮
 

Re: 理事解任に絡む手続き省略招集の是非

投稿記事by 常勤担当 » 2014年9月03日(水) 11:44

岡部様、
再三のしつこい質問にお答えいただき恐縮に存じます。
お立場上、一定枠内でしかお説を開陳できないご事情もおありのようで、私もこれ以上の愚問は慎みたいと思いますが、最後にどうしても理解できない点についてご教示ください。181条の規定は省略できないとすると、同1項により理事会で日時・場所・議題等を決めた後、いったい何の意味ある手続きが省略できるのでしょうか。ただ単に通知が省けるというだけでは、何の意味もありません。
特に、今回当法人で生じているような理事・理事会の問題事項があって、理事会自治に任せておけないとき、理事の解任という評議員会の法人統治の専権事項を176条に拠って断行しようという場合に、まず理事会側の提案を待ってというのでは、どうにもなりません。183条を理事会に従属しない評議員会の主体的行動の根拠、176条の実行を担保する規定と理解することは不可なのでしょうか。
常勤担当
 

Re: 理事解任に絡む手続き省略招集の是非

投稿記事by 常勤担当 » 2014年9月03日(水) 14:12

岡部様、
補足いたします。
岡部様は先のご教示で法人法183条をコピペ元の会社法300条解釈から類推する説を引用されておいでですが、異なる解釈(私の理解にそぐう解釈)もあります。例えば、石井邦尚という弁護士はネットで次のように解説しています。私自身は、法人法の出自がどうあれ、実定法はそれ自体で自立し独立運用すべきと思いますが、念のため僭越ながら引用紹介いたします。なお、該当部分のみ抜粋しますが「会社法300条 石井邦尚」で検索すれば全文が読めます。

(前略) しかし、株主全員の同意がある場合は、上記の期間を短縮すること、あるいは招集通知書面等の提供を行わずに株主総会を開催することができます(同法300条。なお、招集手続で書面投票や電子投票による議決行使を定めた場合には、こうした省略はできません<同条但書>)。後々のトラブルのリスク等を考えると、同意は書面でもらっておくことが望ましいです。
【株主全員出席の株主総会】
 また、そもそも招集がなくても、株主全員が開催に同意して出席すれば、株主総会は適法に成立します。事前に株主総会を開くことを決めていなくても、たまたま株主全員が揃っていれば、その場ですぐに株主総会を開催することができます。
 ただし、株主全員がその場に揃って話し合いや会議などを行ったからといって、それが株主総会になるわけではありません。株主全員が揃っているだけでなく、株主総会を開催することに同意し、株主総会として会議をし、決議することが必要なことに注意してください。
 なお、上記の株主全員の同意による招集手続きの省略の場合は、招集手続省略に全株主の同意があれば、株主全員が出席しなくても株主総会を開催できるというのが、株主全員出席の株主総会と違うところです。(後略)

同様の見解は、すでに現実の事例を伴っていくつも出ています。
もちろん「たまたま」株主が全員集って「じゃあ、せっかくだから総会をやりましょう」などということがあるはずもありません。財団でも「たまたま」全評議員が居合わせたので、「ついでにあの理事を解任しましょう」ということは考えられません。実態は、理事会の妨害を回避して理事会に人事介入するには十分な根回しで集合して、一気に決議する必要がありますから、「たまたま」か「示し合わせて」かは問わない183条に拠って、176条の責任(不適格役員の除去)を果たすのです。
常勤担当
 

Re: 理事解任に絡む手続き省略招集の是非

投稿記事by 公益法人協会 岡部 亮 » 2014年9月04日(木) 14:40

常勤担当 様

最期の最後ですが、法人法180条に評議員による招集の請求の規定があります。この手続きを取ることにより、理事会が協力しないときは、「裁判所の許可」が必要ですが、請求をした評議員が評議員会を招集できます。
これによられてはいかがでしょうか。
公益法人協会 岡部 亮
 

Re: 理事解任に絡む手続き省略招集の是非

投稿記事by 常勤担当 » 2014年9月05日(金) 13:37

岡部様、
最終手段のご教示いただきました。もちろん司法への請求、あるいはどんなに抵抗しても拒めない定時評議員会に向けて184条以下により評議員提案権を行使する(そのほうが180条の司法手続きを待つより早いこともある)等の方法は承知しております。しかしそれらはあくまでもイレギュラーな例外規定であり、法人自治が十全に機能しない場合のやむを得ない方法です。評議員会の究極の法人統治手段として通常的に発生する可能性のある役員の臨時選・解任については、被選・解任側の意向に関わらず評議員の一体的合意により実行できるはずです。その根拠が簡潔な183条だと思うのですが、そうでないとしたら、いったい183条で省略できるのは、どういう事柄で、どういう場合にメリットになる適用ができる規定なのでしょうか。
この点だけ、ご教示ください。
常勤担当
 


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