一般社団法人設立を予定している団体からの質問

一般社団法人設立を予定している団体からの質問

投稿記事by コムロ » 2020年11月17日(火) 16:16

お世話になります。宜しくお願い申し上げます。

任意団体として現在活動をしていて、今般、一般社団法人の設立を検討している団体から以下の質問を受けました。
ご指導いただければ幸いです。

1.【会費・議決権の定め方について】
  会費について、例えば、「1口 1万円、社員ごとに口数を定める。」と定めることは可能ですか?
  この定めができるとして、「社員の議決権は、その者が支払う会費の口数とする。」と定めることは可能ですか?
  (私見)多分、株式会社の株主の議決権のような発想だと思います。私としては、一般社団法人の制度趣旨に
     そぐわないように思いますが、いかがでしょうか?

2.【役員報酬の定め方について】
  「役員の報酬は無償とする。」と定めることは可能ですか?

3.【社員の区分について】
  社員を、個人会員と法人会員という二つのカテゴリーで区別して定め、会費を別々に定めることは可能ですか?

4.【社員の責任について】
  一般社団法人の社員になることで、責任を負うことはありますか?
  (私見)定款で定めた会費の支払い義務くらいしか頭に浮かびません。

5.【役員の法人に対する損害賠償責任について】
  法111条1項の「その任務を怠ったときは、」とは、例えばどんな場面を想定しているのでしょうか?
  同条2項、3項はわかりやすのですが、1項については、イメージが難しいです。
  (私見)会社の取締役が善管注意義務違反で会社に損害を与えたケースと同じように考えればよいのかとも
     思いますが、一般社団法人の事例で何か参考になるケースがあれば、お教えください。

以上宜しくお願い申し上げます。
コムロ
 

Re: 一般社団法人設立を予定している団体からの質問

投稿記事by 公法協相談員星田寛 » 2020年11月19日(木) 21:44

コムロ 様

投稿ありがとうございます。
一般社団設立について5つのクエスチョンについて検討します。
1.一般社団法人には、会費、議決権についての定めがありませんので、私的自治があると考えられ、社員が賛同する範囲で会費、議決権を社員総会で自由に決めることができるものと考えます。「制度趣旨に沿わない」とのご意見ですが、制度趣旨とは何かわかりません。社員が法人の運営を決める団体を社団法人と考えています。
2.役員報酬は、なり手が無報酬でよいと考えるなら、無報酬でも可能で、法制の定めはありません。欧米では非営利組織の役員はボランティアが多いですが、常勤の方は生活費を賄う報酬が必要と思われます。なお、「報酬」とはどのような経済的利益をいうかはよく考えておく必要があります。
3.社員の区分、会費の区別は、1.にて記述のとおり、法人自治で、社員が納得できる範囲で社員総会で決めることです。
4.社員の責任は、定款の定め次第ですが、一般に社員総会での議決権を行使等して社団の運営に賛同・関与し、運営の経費負担義務すなわち会費義務を負うだけで、いやなら退会することになるか、組織運営等を変えるかです。
5.役員が法人に対して責任が課されることは、善管注意義務、忠実義務、競業避止義務、利益相反取引回避義務、監督監視義務です。もし、役員(主に代表理事、業務執行理事)が業務においてこれらの義務を怠った行為(任務懈怠といい、不作為を含みます)に起因して法人に損害が発生した場合には、法人に対する損害賠償責任が生じます。
貴見のとおり、取締役と同様の例を考えればよいと思います。
善管注意義務等による任務懈怠には次のような例があると思います。
㋐従業員の長年の不正取引・横領に気づかずに法人が巨額の損失を被った。理事が経理の監視監督の義務を果たしていなかったとして損害賠償を請求される場合
㋑従業員が過労死したのは長時間労働を理事らは容易に認識できたにもかかわらず問題を放置したのが原因であり、法人が遺族に賠償した額について、その原因は任務懈怠責任であるから理事に対して損害賠償を請求される場合
㋒法人のイベントの運営が不十分で多数の参加者にけがを負わせたなど、事業のずさんな運営・管理が理事の注意義務を果たさなかったことが原因とされ、法人が負った賠償額を請求される場合
㋓基本財産、特定資産の運用が、理事会での審議もなく理事長のハイリスクの債券運用など独断的な投資が放置され、対処する時機を逸して多額の重要な額を失うことになった場合。等々です。
なお、理事が、利益相反取引を行ったことで法人に損害が生じた場合で、当該理事や賛成した理事等には任務懈怠が推定された例。また、不正を指示した役員だけではなく、不正を防ぎきれなかったとして任務懈怠により他の役員も対象に損害賠償請求される例もあります。
公益法人インフォーメーションのHP,「法人の財産管理について」 (https://www.koeki-info.go.jp/administration/index.htmlの中に)に財務の事例があります。
                                                                         以上 星田寛
公法協相談員星田寛
 

Re: 一般社団法人設立を予定している団体からの質問

投稿記事by コムロ » 2020年11月20日(金) 14:32

星田寛様
大変勉強になりました。
感謝申し上げます。
今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
コムロ
コムロ
 


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